おはようございます!miekoです。
和田裕美さんの自伝的小説「タカラモノ」からの最後の一人芝居は、
大好きなママの一周忌に、大嫌いなパパとふたりでステーキ屋にご飯を食べに行ったシーン。
コーンスープを美味しそうに飲んだ後、「ホントはオニオンスープが飲みたかったんや」なんて言うパパを見て、この人は思った事と反対の事しか言えないんだ、
と気づく。
お風呂入ってるのに電気消された、叩かれた、大学なんて行ってもしょうがないと言われた、お金払ってくれなかった。この人といると気分悪かった。だからずっと避けてきた。
辛かった。痛かった。怖かった。大嫌いだった。
私は被害者で、この人を加害者だと決めつけてきた。でも…
「ごめん」
「いっつも、パパに嫌な態度ばっかりしてた。ごめんな」
「年に二回しか休まんと一生懸命働いてくれて、なんやかんやいうても最後は学費も出してくれて、ありがとう」
いちばん聞きたかったこと、心にずっと引っかかってたこと…
「パパはおねえちゃんばかり可愛がってた。それはわたしがダメな子やったから?パパはわたしが嫌いだったんやろ?」
「おまえこそママ、ママって。ママばっかりやったやないか。俺が死んだらいいと思ってたやろ」
わたしはパパを、生まれてはじめて真正面から見つめていた。
わたしは、ママがいたから、そしてパパもいたから「わたし」になれたんだ。
東京に帰る新幹線のホームで渡されたママとおねえちゃんとほのみの伝言ノート。
「ほのみはパパが死んだら十つぶのなみだをこぼして、
ママがもし死んだときは九千兆と九百兆と九十兆のなみだをながすよ。
そして泣きすぎて死んじゃうよ」
その横に書き足されたパパの文字。
『オレが死んだら十粒の涙やて、ケチくさいな。
おまえ、生きてるな』
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◎白地に黒の切り替えが入ったワンピース。
陰陽の太極図のようにも見えるワンピースから、
真っ白なワンピースに着替えた和田さんは、
陰=黒い部分がきれいに陽転され、
輝いている様に見えました。